
改訂 令和3年11月12日
臨床情報部 安全性委員会
鍼灸施術における新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための注意点
現在,日本国内において新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は収束の方向へ向かっていると考えられますが,新たな変異株の出現など未だ予断を許さない状況にあります.そこで,現在の状況を鑑み昨年公開しました「鍼灸施術における新型コロナウイルス感染の拡大防止のための注意点」の内容を見直し,ここに再掲致します.
なお,一般的な感染防止対策の内容に関しましては,引き続き本学会のホームページの「鍼灸安全対策ガイドライン2020年版(修正版)」を参考にしていただくようお願い致します.
1.施術者は,毎日施術前に体温を測定し,発熱している場合や感冒症状(咳,鼻水など)がみられる場合は施術をしない.
2.施術者は,ワクチンに対するアレルギーを有する場合などを除き,感染予防のためにCOVID-19ワクチンを接種しておくことが望ましい.
3.施術室および待合室に多くの患者が同一時間帯に滞在することのないよう予約等で患者が分散するよう配慮する.また,有事の際にクラスター対策に協力できるよう患者の連絡先や施術した日時を明確に記録しておく.
4.施術室および待合室では,自然換気(30分に1回,2方向の窓やドアを開ける)または機械換気(換気扇を作動させるなど)を行い,密閉空間とならないよう留意する.
5.患者に対して施術前に体温測定と感冒症状の有無を確認しカルテに記載する.発熱している場合や感冒症状がみられる場合は施術を行わない.なお,患者に使用した体温計(非接触型は除く)は,その都度,清拭消毒を行う.
6.新型コロナウイルス感染症では無症状患者が存在することを考慮し,問診も含めた施術に際しては,施術者・患者の双方がマスクを着用する.この際のマスクは,サージカルマスクまたは不織布マスクを強く推奨する.
7.顔面部の施術などで患者がマスクを外している状態では,可能な限り会話は避けるとともに,施術者はゴーグルまたはフェイスシールドを着用して施術することが望ましい.
8.施術者は,施術の前後に必ず手指衛生(手洗いまたは手指消毒)を実施する.また,可能であれば,施術時は医療用手袋を着用することが望ましい.医療用手袋は単回使用とし,患者毎に交換・廃棄する.
9.患者に使用したタオルやリネン類は,患者毎に交換・洗濯を行う.
10.患者が触れたと思われる環境表面(ドアノブ,手すり,トイレなど)の清拭消毒を行い,その頻度は少なくとも1日1回以上とする.また,患者に使用(接触)した枕,胸当て,施術ベッド,物療機器については,施術毎に清拭消毒または洗浄を行う.
11.初診患者に対しては基礎疾患の有無,渡航歴を確認する.なお,継続患者であっても心疾患,呼吸器疾患,糖尿病を有している場合は,施術の必要性を十分検討し,必要な場合は医師(かかりつけ医)と連携を図りつつ実施する.
12.医療施設内で施術を行っている場合は,その施設の方針に従う.
本指針は,学会員に対して施術の際の行動を強制するものではなく,また,施術の安全を保証するものでもありません.あくまでも感染リスクを低減するための方策を提案するものであり,施術そのものを行うべきか否かの最終判断並びにどこまで感染防止対策を実施するかについては,施術者が置かれている状況や環境を考慮した上で,個別にかつ適切に判断して頂くようお願い致します.
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