更新日 2021-11-14 
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2021年9月にBMJより "鍼治療に関連した有害事象についてのシステマテックレビュー&メタアナリシス" が発表されました。[1] 本レビューでは、ドイツ・イギリス・日本・中国・香港・スウェーデン・韓国・ブラジルの21件の研究(22本の論文)が対象となっており、これには(公社)全日本鍼灸学会安全性委員会が実施した多施設前向き調査が含まれています。[2] ドイツの大規模な前向き調査等を含む母集団の大きなシステマティックレビュー&メタアナリシスは本レビューが初めてであり、今後、鍼治療の安全性を議論する上で貴重かつ重要なデータとなります。以下に本レビューの要旨(和訳)を紹介します。


【目 的】鍼治療に関連した有害事象のリスクに関する概説.
【デザイン】前向き研究のシステマティックレビューとメタアナリシス
【データソース】PubMed,Scopus,Embase(2019年9月15日までのデータ).
【研究選択のための適格性基準】鍼治療によって生じた有害事象を評価した前向き調査研究(英語またはドイツ語で主要な転帰が公表されているもの).
【データの抽出と統合】独立した2名の研究者が論文を選択し,データを抽出して研究の質を評価しました。全体的なリスクと様々な有害事象のリスクは,ラムダム効果メタアナリシスから得られました.
【主なアウトカム】軽度の有害事象と重篤な有害事象の患者毎および治療毎の全体的なリスク.
【結 果】合計7,679件の出版物が確認され,21件の研究に基づく22件の論文が対象となりました.鍼治療を経験している患者の9.31%(95%CI 5.10% to 14.62%, 11 studies)および治療の7.57%(95%CI 1.43% to 17.95%, 5 studies)で少なくとも1つの有害事象が発生していることが示唆されました.重篤な有害事象の発生リスクは,患者1万人あたり1.01人(95%CI 0.23 to 2.33, 11studies)および治療100万回あたり7.98回(95%CI 1.39 to 20.00, 14studies),治療を必要とした有害事象は患者1,000人あたり1.14人(95%CI 0.00 to 7.37, 8studies)でした.対象となった研究の異質性はかなり大きなものでした(I2> 80%).平均して100回の治療で9.4件の有害事象が発生していました。有害事象の半数は、出血や刺鍼部の痛みや発赤でした.有害事象の定義と評価は研究により大きく異なりました.
【結 論】鍼治療は安全な医学的治療法の1つとみなすことができます.重篤な有害事象の発生は稀であり,最も一般的な有害事象は非常に軽症でした.医療的な処置を必要とする有害事象は稀ですが,患者の安全を保証するためには医学的な能力を必要とします.また,対象となった研究の臨床的および方法論的な異質性が大きいことから,有害事象の評価方法の標準化,治療的な反応と鍼治療に関連する有害事象とを区別する明確な基準,患者に関連した有害事象の危険因子の特定が求められます.


[1] Petra Bäumler, Wenyue Zhang, Theresa Stübinger, Dominik Irnich. Acupuncture-related adverse events: systematic review and meta-analyses of prospective clinical studies. BMJ Open. 2021 6; 11(9): e045961.
[2] Furuse N, Shinbara H, Uehara A, Sugawara M, Yamazaki T, Hosaka M, et al. A Multicenter Prospective Survey of Adverse Events Associated with Acupuncture and Moxibustion in Japan. Med Acupunct. 2017;29(3):155-62.